ネパールではマリファナを吸ってから仕事に出かけるのだ〈38〉

  日本では大麻を吸ったりしたら大変な犯罪のようで、芸能人なんかマスコミの標的になってボコボコにいじめられるのだけど、ネパールあたりでは文化的な事情から日本とは少し違っているみたいだった。
  僕が連泊していたポカラのホテルのスタッフのにーちゃんによると、

  「ネパールでは多くの人が一日に二本のマリファナジョイントを吸う。朝起きて仕事に行く前にまず一本吸う。そして、仕事が終わって帰ってきてからもう一本吸うのだ」

  少し驚いた。だって仕事する前にマリファナなんか吸ったら、ちゃんと働けないのじゃないのか?! しかし、スタッフにーちゃんによると「いつも吸ってるから慣れている。大丈夫」だそうなのだ。まあ話半分としても・・・うーん。恐るべしネパール人。
  しかし、ある人に聞いた話では、日本でも江戸時代の職人さんたちは「酒を飲んで仕事に行くのが粋である」と、されていたようで、朝の一杯をキュイッとかきこんでから働きに出かけたそうである。
  ちなにみ、日本人には下戸の人が多いらしい。だから下戸の職人さんは酒を飲んだら本当に仕事にならない。しかし、酒を飲んで仕事に行くのが粋なのだ。そんなわけで着物にまるで香水のように酒を振りかけて、臭いをプンプンさせ、「酒を飲んでいることを演じた」そうだ。
  酒もマリファナもドラッグである。気分を高揚させて楽しむ遊びの薬だ。でも、麻薬の原産地と文明の発祥地、そして宗教の発祥地はとても近いという。麻薬がなければ文明も宗教も今のようになかったという説もある。そんなわけでネパールにしても江戸時代の日本にしても、日常とは異質なヒラメキを得ることによって、仕事の質を不思議に高めようとしたのかなあ。なんて思いました。
  そこから「酒を飲んでいることを演じる」ファッションにまで転化してしまったことが、これまた不思議ですね。