ベトナムが朝鮮と似ているところ〈37〉

  ベトナムを旅行して感じたことがある。   現在のベトナム語は表記文字がアルファベットになっているけれど、それ以前は漢字を使っていたらしい。だからベトナム語の70%だか80%は漢字に直せるらしい。例えばベトナム語で「国語」をあらわす言葉は「クォックグー(quoc ngu)」というのだけど、それを漢字に直すと日本と同じ「国語」である。だから音が似ているのがよくわかる。
  他にも「注意」のことを「chu y」というし、調べれば他にも日本語に似ている言葉はたくさんあるのだろう。
  僕は自転車が好きなので「自転車」ってベトナム語で何て言うのか調べてみたら「xe dap」と書いて、「セダップ」と発音することがわかった。「ジテンシャ」と言う発音とは少し違うなと思った。
  でもベトナム語辞書をパラパラめくると面白いことに気づいた。「自動車」は「xe hoi」。「オートバイ」は「xe moto」。「乳母車」は「xe dai em be」。なんて書いてあった。
  つまり車輪がついているものの言葉には、全部頭に「xe」という字がついていてそれを「セ」と発音するらしい。ははぁーん。わかった。どうやら「xe」は「車」なのだ。やっぱり少し日本語に似てる。
  そんなベトナムから帰ってきたある時、友人に現在の韓国のハングル語もほとんどを漢字に直せるらしいと聞いて、

  ベトナムと朝鮮(韓国と北朝鮮をひっくるめて)って似てるよなあ。って思った。

  考えてみれば、南北に長い国というところが似ている。それにベトナムも朝鮮も同じ民族同士が北と南に分かれて戦争している。それもアメリカと共産圏の代理戦争みたいなことで、やっぱり似てる。
  歴史をたどればベトナムも朝鮮も中国の属国であったらしい。強大な文明を持つ漢民族から力の支配を受け、周辺国として税を搾取されていたことも似ている。そんなことが南北戦争やら言語状況やらが似ている根本になっているのだろう。
  僕は韓国に行ったことがないのだけど、どうだろう。ベトナムと朝鮮民族の気質もやっぱり似てるんじゃないのかなあ、って思った。
  会社員時代、仕事関係で出会った韓国人のパクさんは、友好的だけどとてもカタクナな一面があって自分の主張の筋を強く通す人だと思った。同じように僕が出会ったベトナムの人たちも、日本流に言うと「ヤンキー気質」みたいな感じで、韓国人と似てるような気がした。韓国とベトナム人気質に似ているところがあると思う人はぜひ教えてください。
  ちなみにベトナムはあくまでも仏教国で、家庭には仏壇みたいな祭壇があって、「七転八起」みたいな教訓地味たことが漢字で書かれた掛け軸がかかってるのだけど、僕が遊びにいったその家では誰もその意味を知らなかった(というか漢字が読めなかった)。なんだか変な印象を受けた。