どうして表彰台でキスするの? そんなスポーツ他にないよ。

 

ポディウムガールの身長高すぎちゃう!?
ジロツールの表彰式では、ポディウムガールと呼ばれるキレイなねーちゃんが優勝者のホッペに両側からブチュッとキスをするのは自転車ファンなら見慣れた光景だ。華々しい反面少し残念に思うのは、ねーちゃん達は皆ファンションモデルでしかも高いヒールを履いているので、小柄な優勝選手だとFBIに連行されるコビト宇宙人のように見えることだ。もう少しコンパクトな美人もおるだろうに。
それにしても不思議なのは、自転車レース表彰においてのキスの風習自体である。他のスポーツでは、このような勝利の栄光とハレンチな接吻が混同されることはありえない。しかも表彰式というオゴソカなる儀式の場に置いてである。大相撲の表彰式で和服のねーちゃんが白鵬にキスするシーンを想像できなくもないが、マツコ・デラックスの方が似合ってるかもって?
でも一体どうして、自転車レースは表彰式でキスするんだろう? ツールの歴史を紐解くと黎明期の4000km以上のこのレースは今以上に冒険的な意味をはらんでいたらしく、ゴールで待ち構えた家族たちが「ああ。よくぞ生きて戻って来れたもんだ」てな雰囲気でキス攻めにしたというのが起源かもしれない。

 

そんなわけでキスは健康に良いのだ!
なぜ人間はキスをするのか? という答えにはいくつかの説がある。
大昔、人がまだサルに近い存在だった頃、森の中で輝く赤い果実の色が「赤は報酬だ」というサインを人の遺伝子に焼き付け、それが女性性器や唇を赤系に進化させたという。つまり、キスは赤い果物(食物)をご褒美として与える(与えられる)行為の象徴なのだ。
また別の説では、母親の乳房を吸うことの記憶がキスの精神的起源だとも言う。ちなみに70%ちかくの人がキスをする時、首を右側に傾けると言う。これはほとんどの母親が左手に子供を抱き、子供は乳房を求めて右側に首を傾けることに由来していると言う。
もうひとつの説。キスとは、ニオイを嗅いで相手との間に優秀な子孫を残せるか分析する行為の最終審査であるという。つまりセックスをする前にお互いの唾液のバクテリアの種類を感覚的に把握することがその意味だという。そのためか世界中の多くの民族で「ニオイを嗅ぐ」と「キスする」が同じ単語で示されると言う。
いずれにしてもキスというのは、食欲と性欲という二大本能に深く結びついている行為であるからして、キスが体調や健康に与える効果というのは絶大らしい。確認されているのは、キスすればエンドルフィンをはじめとする様々な脳内麻薬物質やホルモンが分泌され、免疫機能を高めるということだ。簡単に言うと「キスをすれば健康になる!」のだ。そんなわけでスポーツクラブでもトレーニング機器だけじゃなく、インストラクターのねーちゃんとキスできる施設を備えるべきだ! え!? それは別のクラブに行けって?

 

自転車競技はヨーロッパ民族スポーツだからキスするのだ。
性欲や食欲の象徴であったキスが「癒し」としての意味を持ち始めた古代、人類はそれを「友好」や「尊敬」や「挨拶」や「儀式」にまで広め、結果的に表彰台キスにまで発展させた。
日本人にとってキスは性的なイメージが強いけれど、ヨーロッパでは広い意味がある。逆にいうとヨーロッパ人は世界の中でキスの意味をもっとも多様化させた民族だとも言える。東ヨーロッパでは男同士でのキスが友情のしるしだと言うし。つまり、ヨーロッパはキス先進国なのだ。
考えれば、自転車競技はヨーロッパ発祥のヨーロッパ民族スポーツだし、キスもヨーロッパ民族文化の骨頂だ。そのあたりが、他のスポーツでは見られない、自転車レース独自の表彰式祝福キスの特殊な意味でもあるのかなあ。
ところで表彰式でやってるチークキスというのがある。あれはホッペを合わせてキスの音を鳴らすだけで実際には口を接触させていないって知ってた? 僕、若い頃そんなことを知らなくて、知り合ったスペイン人のねーちゃんにホッペタ合わせたままヒョットコみたいな口を必死に吸い付いたことがある。もちろんメチャやな顔された!
我が孫弟子の新城幸也(この表現は本人に承諾済みです)がステージ優勝のポディウムでヒョットコにならないことをただただ祈りながら応援する今年のツール・ド・フランスである。