自転車のルーツは昆虫だった!!

 

中空構造パーツやフレームは外骨格なのだ。
いきなりだけど、昆虫って自転車に似ていると思う。つうか自転車が昆虫に似てるのか?だいたいからして、昆虫は動きやデザインがメカニカルな工業製品のようだ。その色彩も自転車の塗装っぽい。タマムシは七色のメタリックカラーだし、ウバタマムシはマットブラウンだ。
特筆すべきは、昆虫の外骨格というのが自転車と構造が類似していることだ。硬い外骨格に囲まれた昆虫の断面を図鑑で見ていると、まさしくそれはサイクルモードでよく目にするフレームやパーツのカットモデルみたいだ。近年はフレームもリムもクランクも、そしてチェーンリングまで太い中空構造になって、硬くて薄い外骨格がそれを取り囲み、機材の昆虫化は脱皮を繰り返すように、ますます進行している。
昆虫はその外骨格の中に神経や消化器をめぐらせているが、これもワイヤーケーブルをフレームに内蔵することと機能も構造もそっくりじゃないか。だいだい僕たち人間は、内骨格の生物で、骨のまわりに内臓をぶら下げている。なのに自転車を考えついた僕たちが昆虫というまったく異質な構造の模倣を追い求めているのは、なんか不思議だなあ。

 

「昆虫宇宙飛来説」とは。
なんでも昆虫というのは太古に宇宙から地球に飛来した生物の末裔であるという説がある。昆虫を中心とする節足動物(エビやカニやクモも含む)は四億年前に突然、謎の大出現をしている。ようするにその時期に地球にやって来た宇宙生物ということだ。
そんなわきゃねえだろ。とおっしゃる? 確かに人間と昆虫では60%ほどの遺伝子が同じだから、起源も同じ地球生物だと言われている。しかし、「遺伝子の水平伝播」という学説によると異種生物同士が遺伝子をやり取りすることは可能なのだ。つまり宇宙生物が地球生物の遺伝子を取り入れながら混血進化したのが、昆虫や節足動物というわけだ。
だから、僕たち人類の潜在意識には遺伝子の記憶が持つ「昆虫=宇宙人」というのがあるもんだから、昆虫型宇宙人をSF映画によく登場させてしまうのだ。ちなみに、クマムシという節足動物は宇宙空間でも生存できるらしいし、アリは成層圏から落下させても死なずに着地できるというし。ますます「昆虫宇宙飛来説」は信憑性を帯びるのだ。
昆虫が宇宙生物なのは「変態」という特殊な生態システムの不思議さからも感じる。なんでもイモムシはサナギの中で一度ドロドロの液体に溶解した後、一から体組成を構築させてチョウに変身するのだって。それって僕たち地球の哺乳類じゃあ考えられない変なことだわなあ。まあ僕としては、ドロドロした液体が身体の一部から痙攣ととも飛び出すこともあるのでわからんでもないが、って。ああ。それは「ただのヘンタイ」でした。

 

自転車も昆虫も「自然の設計図」でつくられた?!
アリやハチは社会システムを持つ昆虫だ。働きバチが、女王バチのために自らを犠牲にして尽くそうとするのは、まるでプロレースでエースのためにボロボロになって玉砕していくアシスト選手の姿と重なるが、そのあたりも自転車と昆虫の共通点かなあ。
ところでアリの動きには「自己組織化」という興味深いシステムがある。なんでもアリの一匹一匹は「巣に食料を運ばなければ」とはぜんぜん考えてなくて、「食料を見つけたら捕獲して反対方向に歩き、行き着いた先の食料が集まる場所に自分が捕獲した物を置く」という極めて単純な作業を繰り返しているだけなのだ。時間はかかるし効率も悪いが、この行動を続けていくと最終的には巣にすべての食料が運び込まれることになるという。つまりアリは反射的で単純な行為を繰り返すうち、考えも及ばないような複雑な作業を無意識のうちに達成しているということなのだ。考えてみれば、大きな命令系統がなくても、個人が本能的な行動を行うことで全体の組織的な役割を担っているというのは、人間社会にも大いに当てはめることができる。
すなわち「昆虫と自転車は似ている」ということだって、単なる偶然じゃない。「遺伝子の水平伝播」によって、僕らにも昆虫の宇宙由来の遺伝子の少なからずが組み込まれ、その驚異的能力を自転車に融合させようという「自己組織化システム」が働いた結果ではないのか。なんと!僕たち人類が、昆虫の異質な構造の模倣を自転車で具現化しようとする不思議とは、こう言うことだったのか!
そんなわけでサイクリスト諸君。虫さんに感謝しよう! 敬意を込めてエビフライやカニ鍋も控えめに?!